新規出店のための事業計画とは~治療院を新規出店する際のポイント~

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疑問・悩み

  • 新規で出店したいがどこから手をつければ良いかわからない
  • 物件の選び方がわからない
  • オープン販促で何をしたらよいかわからない

新規出店のポイント

新規出店には、大きく6つのポイントがある。

1. コンセプト作り

治療院開業を決めたら、どんな院を開くのかを決める。
治療院と一口に言っても、やり方や対応症状、いらっしゃる患者さんなどで様々である。
自分がどんな治療院を作るのかを決めることが、コンセプト作りと言える。
コンセプトという言葉は普段よく耳にする言葉だと思うが、具体的には以下の三つを決めることを指す。

一つ目が、どんな人に自院に通院して欲しいかという点である。

いわゆる、自院のターゲットとなる患者さんを決めることを指す。

二つ目は、ターゲットとする患者さんが持つどのようなニーズを満たしていくのかと言うことを決める。

適応症状などがこれに当たる。

最後に、三つ目は提供する治療技術、サービスなどを決める。

(1)コンセプトを決める前に

コンセプトがどんなものか大まかなイメージが付いたところで、コンセプトを決める際の考え方を説明する。

コンセプトを決める際に有効なのが、SWOT分析と呼ばれるものだ。
SWOT分析とは、まず、自院を取り巻く外部の環境を「機会(O)」と「脅威(T)」に分けて、該当することをピックアップすることから始まる。機会とは、環境や時代の流れにおいて、治療院を開業する上で好都合な条件になる。脅威は機会の反対で、治療院を開業する上での逆風と言える。
次に、自分の状況(内部の環境)を「強み(S)」に「弱み(W)」に分けて洗い出す。
ここでいう強みと弱みとはあくまで相対的なものであり、他院と比べて自院が何に優れており、また何に劣っているのかということを客観的に評価する。強みを考える上では、自分がこれまでの治療家経験において、どんなことを患者さんから評価してもらってきたかという点を考えるとわかりやすい。一方、弱みとはこれまでの経験の中で、自分があまり評価されなかったり、自分として苦手意識を持っていることがこれに当てはまる。

SWOT分析を整理するのに、以下のような表を作るとわかりやすい。

図表1

  好影響 悪影響
内部環境分析

強み(S)

・長年の治療家経験
・自律神経系疾患の施術

弱み(W)

・資金力不足
・施術時間が長い

外部環境分析

機会(O)

・近隣は高級住宅街
・ストレスの悩み増加

脅威(T)

・グループ院の存在
・価格競争の恐れ

図表2

コンセプトを決めるとは、以下の3つの質問に答えること

1. 誰を相手にするのか。(ターゲット)
2. ターゲットのどんな要望に応えていくのか。(ニーズ)
3. ターゲットのニーズに、自社のどのような強みを提供していくのか。(強み)

(2)ターゲット患者を決める

次に、上述したSWOT分析で述べた「強み」と「機会」を眺めながら、自院がターゲットとする患者さんを見つける。

自院の強みに合致する患者さんはどのような人か?現状の機会に合致する人はどんな人か?

このような問いかけをひたすら繰り返しながら、自院にふさわしいと思われるターゲットを探していく。

しかし、これはなかなか根気のいる作業であり、ターゲット像が浮かび上がるまでには時間がかかる。

上記の表の例ならば、近隣の高級住宅街に住む人がターゲットになるかもしれない。

更に、この地域内の世代別の人口を見ていった場合、30代がもっとも多い世代であれば、その層がターゲットになるとも考えられる。

(3)患者さんのニーズを決める

次ターゲット患者が決まると、次にそれらの患者がどのようなニーズを持っているのかという点を探る。
ニーズとは、満たされたいと思っている要望を意味する。
ターゲットとする患者さんが持つニーズを正確に把握することが重要である。
たとえば、最近はストレス社会ということもあり、腰痛、肩の痛み、頭痛、自律神経系の症状で悩む人の増加がある。
この場合、ニーズとしては、ストレスによって引き起こされた症状を改善したいということなどが考えられる。
もう少し細かく見ていくと、ストレス社会におけるニーズの捉え方としては、一般的にはリラクゼーションサロンではストレスを軽減し、リラックス効果を狙っている。リラックスしたいというニーズに応えている。これに対し、治療院であれば“治療”できるという点を活かし、単にリラックスしたいというニーズではなく、体の状態を良くしたいというニーズまで捉えることができる。

(4)提供する治療サービスを決める

ターゲットとする患者さんが決まり、さらに患者さんのニーズが決まると、後はこちらの提供する治療サービスを決めればコンセプトが完成となる。自院が提供する治療サービスとは、強みであることが大切である。他院と比べて自院が優れている部分(強み)を治療サービスとして提供する。
これはSWOT分析で整理した自院の「強み」の欄に挙げられた内容になる。
たとえば、自院が自律神経疾患に対する治療が強みであればそれを提供する。
あるいは、整体との組合せで提供する鍼治療が強みであればそれを提供するという具合である。
また、治療サービスの中には「接遇」も含まれる。
もし細かいところまで気を遣えて接遇が強みであると考えられるならば、たとえば、患者さんが入ってきたら名前を呼んであいさつする、患者さんを最後まで見送るという点を強みと認識して取り組んでいくのもいい。

(5)コンセプトを決定する

コンセプトは上述した三つのことを決めることで自ずと決まってくる。
どんな患者さんの、どのようなニーズに対して、自院の強みである何を提供するのかを決めることがコンセプトとなる。
ここで、コンセプトの例を挙げると、

「近隣に住む30~40代の女性(ターゲット患者)に対し、ストレスによる症状を良くしたいというニーズを、長年の治療技術(強み)で満たす」

などになる。

ちなみに、コンセプトは一度作ったら不変というものではなく、内部環境や外部環境の変化によって変えていくことが望ましい。
コンセプトを作り変えていくというのは、自院が進化していくことに他ならない。

2. 物件選びの基準

新規出店をする際には、当然ながら店舗用の物件を探さなければならない。この物件選びは、非常に重要になる。
どのような物件を選ぶかで、出店の成否は大きく影響を受けると言える。
物件を選ぶ際には、「視認性」、「入りやすさ」、「動線」の三つがポイントになる。

(1)視認性

視認性とは、通行人からの物件の見えやすさを意味する。
たとえば、歩いている人、あるいは自転車、自動車を運転している人に対して、自然に目に入ってくるというのが理想の物件である。視認性を決めるのは、元々の物件の位置が大きく影響するが、近隣の店との兼ね合い、店舗の前に歩道橋、樹木などの障害物がないかということも重要になる。近隣の店舗との兼ね合いとは、極端に目立つ店があるかどうか、自院の同色の看板を出している店がないかということを指す。
目立つ店が近隣にあると、通行人はそちらの店に目を奪われてしまい、相対的に自院は目立たなくなってしまう。
また、自院と同色の看板を出す店がある場合は、景色と同化してしまうためにやはり自院が目立たなくなることがある。
また、目立つ看板を出せるかどうかということも大きく影響する。
治療院は医療機関としての意味合いが強いために、目立てばいいというわけではないが、目を引く看板を出すことは集客に有利に働く。

(2)入りやすさ

物件選びの基準で二つ目に取り上げるのが、「入りやすさ」である。
これは、読んで字の如く、店舗に入りやすいかどうかということを意味している。
たとえば、入り口に段差がない、店舗前面がガラス張りになっていて中の様子が見える、駐車場がある場合には、中央分離帯などがなく反対車線の車も問題なく駐車ができるという点などがある。また、エレベータが無い場合には、店が地下や二階などではなく、足の悪い人でも難なく入れるというのも重要になる。

(3)動線

動線とは、人や車が動く線を表す。たとえば、住宅地A地点と駅があったとする場合、この2地点を結ぶ線が動線となる。
この動線上に店舗があることで、当然のことながら多くの人に認知してもらえるので、集客上有利になる。駅前立地やスーパーの前や並びに位置する店舗は、人が駅の行き帰り、スーパーの行き帰りに通る動線上にあるために、集客がしやすい。
動線上にある物件とは、概して家賃が高くなる。
しかし、これは店舗前の人や車の往来が多いために、集客費用が少なくてもいいということを意味する。
その一方で、動線上にない物件は家賃も安くなるが、そのかわり自院で患者さんを呼ぶための積極的な施策が求められる。当然、集客費用がかかってくる。
集客が得意でないならば、多少家賃が高くとも、動線上にある物件を探すほうが現実的だろう。
治療院に限らず、店舗の成功は物件で7割決まると言っても過言ではない。
どんなにいい店舗を作っても、物件の条件が極端に悪ければ業績を上げるのは難しい。
よって、物件選びは妥協をせず、本当に納得したところに決めるようにしたい。

3. 物件を探す

さて、物件の選択基準がわかったところで、実際に店舗探しを開始する。
店舗探しの方法としては、自ら空き店舗を普段から探す、あるいは不動産会社に声を掛けておいて条件に合いそうな物件があったら紹介してもらうというのが一般的である。いずれの方法にしても、希望の物件が見つかるまでは時間がかかる。少なくとも探し出して数ヶ月時間がかかると考えて行動するのが望ましい。
また、物件を選ぶ際には家賃をいくらにするのかという点が重要になる。店舗の広さ(坪数)も同様に重要である。家賃の基準としては、想定売上の10~15%程度が妥当と言える。たとえば、月の売上を100万円とするならば、家賃は10~15万円程度となる。家賃の基準は、いくらの売上を見込めるかということから逆算して決める。もし、家賃が想定売上の15%を超えるような物件があれば、交渉によって値下げをお願いすることもやっていただきたい。
広さについては、必要なベッド数から決まってくる。
通常は、待合スペースも含めて、ベッド1台に対して2~3坪で計算する。
よって、たとえばベッドを4台置くならば8~12坪は必要になる。
最後に、良さそうな物件が見つかったら、実際に周辺を歩き自らの目で周辺エリアを確かめるのがいい。
自院に来院してくれそうな患者さんが住むエリアを確認するようにする。
不動産屋は契約したいので、物件に関して全ての情報を提示するわけではない。
また、できれば候補物件の前で一日様子を見ることもお薦めしたい。
時間帯によって、歩行者や交通量にどれだけ差が出るのかということも知っておくと間違いがない。

4. 事業計画とは
(1)事業計画とは

新規に店舗をオープンする場合には、一般的には事業計画書というものを作成する。
これは、簡単に言うと開業後の数値的な計画を意味する。
たとえば、1年後にはこれくらいの売上を達成したい、2年後には更に増えてこれくらいの売上を達成したいというように、経営者の思いを表したものになる。
仕事柄色々な治療院経営者さんとお話をさせていただくが、開業時に事業計画書を作っていない方は意外に多い。
場当たり的な経営と言える。もし、みなさんが既に開業されている周りの治療家に聞いてみても、事業計画書を作っている人のほうが少ないかもしれない。しかし、だからと言って事業計画書が必要ないということではない。
長い目で見ると、事業計画書を作る必要性を感じてもらえると思う。

(2)事業計画で目標を明確にする

多くの治療家は事業計画というと難しいイメージがあるため、避けて考えたいと思うかもしれない。
はじめはとっつきにくいかもしれないが、今回の記事では簡単に解説していくので、ぜひ理解を深めてほしい。
事業計画を作るメリットを考えると、まずは目標の明確化によるモチベーションアップが一番に挙げられる。
色々な自己啓発の書籍(成功本)にも書かれているが、人間は目標を明確にすることでモチベーションが上がり、結果的にいい成果を出すことができる。たとえば、皆さんがこれから習い事を始めるとする。その際、1年後、2年後、3年後というように上達の目標を設定したらどうであろうか。恐らく、何も目標を決めないで習い事をするよりも、上達のレベルは上がるのではないだろうか。
新規出店の際に事業計画を作る場合も、習い事における目標設定と同じ効果がある。目標を掲げることでそれを達成したいという気持ちになり、結果的に成果も出しやすくなる。また、経営者はもとより、従業員も目標を作ることで、動きが変わり、モチベーション高く仕事をするようになる。
次に事業計画を作成する二つ目のメリットであるが、これは場当たり的な経営になるのを防ぎ、確実に利益を出すことにつながる。開業するに当たっては、少なくないお金を元手に事業を始める。当然、使ったお金は回収しなければならず、それにもまして利益を上げなければならない。そのためにも、開業前にきちんと事業計画として利益目標を立てておくことで、利益を出す可能性を高めることができる。

5. 事業計画書を作ろう
(1)事業計画書は2種類

治療院を開く際に事業計画書として必要になるものは、5ヵ年損益計画、月次損益計画の二つになる。
これ以外にも細かく作ろうと思えば様々なものがあるが、まずはこの二つを作ればいいだろう。
5ヵ年損益計画とは、開業後5年間の損益計画を表したものである。それに対し、月次損益計画とは、毎月の損益計画になる。

(2)損益計画書を理解しよう

治療院の開業は、商売を始めることに他ならない。
商売とは、利益を生み出す活動であるので、当然、利益を管理する方法を理解することが必要になる。
その利益を管理するために使う書類として損益計画書がある。
損益計画書の項目は、「売上」、「原価」、「粗利益」がある。
原価とは、仕入れのことであり、治療院の場合には鍼、お灸、湿布、包帯、テーピングなどがこれに含まれる。
売上から原価を引いた後に残る金額を粗利益(売上総利益)と呼ぶ。
次に経費として「販売費及び一般管理費」がある。
この中には、「人件費」、「家賃」、「広告宣伝費」、「消耗品費」、「水道光熱費」がある。
経費については、売上に対する比率として目安を決めておくと考えやすい。
主だったものとしては、家賃は10%程度、広告宣伝費は5~10%程度となる。
粗利益からこれらの経費を引いて残ったものが「営業利益」になる。
店舗を経営するうえで一番大切なのは営業利益であり、これを出すために店舗経営はあるといえる。
この営業利益が、今後の商売をしていくうえでの元手となる。

(3)損益計画をいくらにするか

先ほど、一番重要な数値は営業利益であると述べたが、目標設定は営業利益をいくらにしたいのかという点から逆算をして考えていく。たとえば、一年間で営業利益を500万円出したいならば、それを出すために必要な売上を目標として設定する。
単純に考えると、営業利益が売上に対して30%とすると、500万円の営業利益を得ようとするならば約1700万円の売上が必要になる。
開業される方に、いくらの売上目標が妥当かということを聞かれることがあるが、これについては自分がいくらの営業利益を残したいかということから逆算して決めてもらっている。

(4)初期投資の回収

治療院を開業する場合は、初期投資としてお金がかかる。内装・外装の工事、ベッド、治療機器、各種材料の調達、敷金・礼金などがある。低く見ても300万円、多い場合には1000万円を超える店舗もある。
初期投資として沢山のお金を使えば、それなりに立派な店舗を作ることができる。
しかし、初期投資は多くかければいいというものではなく、開業後の利益とのバランスで考えることが大切になる。
自己資金が潤沢にある人は別だが、開業に当たって融資を受ける人が多い。
地元の金融機関や、日本政策金融公庫などからの融資が一般的だろう。
融資とは借金のことなので、融資を受けたからには返済をしなければならない。
初期投資の金額は、どれくらいの期間で返済をするかという点を考慮して決めることが重要になる。
返済計画の立て方は割愛するが、治療院の場合だと初期投資の目安としては、想定する年間売上の1/3程度が妥当と言える。
もし年間売上を1500万円とするならば、500万円程度を初期投資として考えるのがいいと言える。

6. 開業スケジュールを作ろう
(1)準備すべきことを洗い出そう

新規開業は、初めての人にとってはかなり大変な仕事になる。
恐らく、多くの人にとっては、開業準備として何をしたらいいのかもわからないのではないか。
ここでは、開業する際に準備すべきことを説明し、そのスケジュールのついても触れたい。
準備の順番としては、まずは物件を決める。
その後に、具体的な開業までのスケジュールを作成していく。
スケジュールは、「戦略立案」、「事業計画」、「内装・外装準備」、「各種販促ツール」、「オープン販促」、「採用」という項目から成り立つ。
ここでは「内装・外装準備」について説明したい。
内装や外装の準備で注意することは、工事期間である。
業者が決まってから実際に内装及び外装工事が終わるまでの期間としては、少なめに見ても1ヶ月くらいの余裕は欲しい。
業者さんが忙しい時期によっては施工の時期が遅れることがあるし、また、天候によっても施工時期は影響を受けるからだ。
「各種販促ツール」については、サイト制作がもっとも時間がかかるため、これも物件が決まってから、すぐに準備をするようにしたい。
特に、院名を入れたりする場合には時間がかかるので注意が必要になる。
最後に「人材採用」だが、いい人を採用しようと思ったら、それなりに時間がかかる。
そもそも、応募が無いこともあるので、これも早めに準備を始めたい。
理想を言えば、何人かを面接してから採用の決定をしたい。
時間の無い中で仕方なく採用した場合でも、一度採用するとなかなか辞めてもらいにくいので、採用も時間的な余裕を持って行なうことをお薦めする。

(2)業者選びはあい見積もりが基本

開業に当たっては、内装・外装業者、デザイン会社、印刷会社、サイト制作会社など様々な業者さんの力を借りることになる。それらの業者さんの良し悪しが、開業の成否を決めることにもつながるので、業者選びは重要になる。もし、既に頼りになる業者を知っていればいいが、初めての開業の場合にはそうはいかない。
その場合には、ぜひとも複数の業者さんに見積もりを出してもらい、最終決定を行なうようにしたい。良さそうな業者さん3社くらいに声を掛け、説明を聞くようにする。その段階で各社の特徴や強みがわかると思う。このとき、担当者が最後まで変わらないで面倒を見てくれるかも確認するようにする。
業者選びでよくある問題が、営業担当者と業務を引き継ぐ担当者が異なるときである。
それらを踏まえて見積もりも出してもらい、最終決定をするようにするのが間違いがない。
しかし、そこまでして業者選びを行なったとしても、やはり気に入らない業者だったりすることがあるだろう。私が見るに、実際にいくつかの業者に仕事を発注し、その中で自院に合う業者をパートナーを見つけるというのが現実的だろう。初めての開業ではそれは難しいが、長い目で見てパートナーを探すということも知っておいて欲しい。

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