【重要】今後どうなる!?整骨院と柔整師の未来。
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目次
2020年から新型コロナウィルスが猛威を振るい、全国的に整骨院も業績ダウン基調となってから3年ほどが経ちました。
コロナウィルスなど緊急時の整骨院経営の対策についてはこちらを参考にしてください。
整骨院のコロナ対策:緊急事態宣言後、withコロナ時代の経営
https://funai-healthcare.funaisoken.co.jp/mail_magazine/healthcare-with_covid-19/
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船井総研の金田です
今回は、20年から始まった新型コロナウィルスではなく日本の人口動態などの統計データを用いて、長期的かつ客観的に整骨院の今後について考えていきます。
1 データから見る整骨院の歴史
戦国時代から受け継がれてきた柔道整復術。
第二次世界大戦後、GHQによる「武道の廃止と医学教育の伴わない医療の禁止」により、柔道整復の存在が危うくなりながらも、昭和45年に単独の「柔道整復師法」が成立。
その後、教育カリキュラムの整備が進むとともに、柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件を機に、柔道整復師専門学校の規制緩和がなされ、養成施設数は1998年(平成10年)の14校だったものが2015年(平成27年)には109校に急増
これを機に、全国の整骨院数も爆発的に増加した。
引用元:柔道整復師に関する施策の現状 – 厚生労働省
2 データから考察する現代における整骨院の環境
令和5年7日に厚生労働省から発表された令和2年度までのデータでは、施術所数は50,364件、柔整師人口は75,786人と今もなお増加していることが分かる。
※ただここ2年の増加率は減少している
平成30年における中学生~高齢者(13歳~80歳)の人口は約1億人。
整骨院数50,364件で割ると、1施術所あたり人口数は約2,000人になります。
2,000人のうち、果たして何人が患者様になるのでしょうか?
整骨院を利用した事のある人は、人口の14%程度という情報もあります。
統計データから考えても整骨院経営を成り立たせるのは、10年前、20年前と比較し、難しくなってきているのは明らかでしょう。
※ここでは立地条件や技術力、マーケティングへの注力状況等はあえて無視する。
3 人口動態から考察する整骨院の将来
どこを見ても整骨院がある令和時代を迎えた今日、整骨院や柔整師の仕事は今後どのように変遷していくのでしょうか?
ここではマクロ的な視点(経済や業界など大きな視点)で、つまり物事を大きく抽象的に捉えたいと思います。
将来を予測する上で大切になってくるのが、人口動態です。
引用元:総務省 少子高齢化の進行と人口減少社会の到来
3.1人口動態とは
人口動態は社会問題や経済を見る上で、必ず見るべき指標です。
理由は、人口動態は大きな移民政策や戦争が無い限り大きく変わる事はなく、経済を動かすのは人の存在によるものだからです。
・団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年問題
・金融庁が発表した老後に平均2,000万円が不足する年金システム不機能問題
・現在高給取りでも老後に貧困生活を送る可能性の高い下流老人問題
これらすべて人口動態の影響を受けています。
人口動態を見ればテレビやネットで問題が叫ばれる何年、何十年も前から想定できます。
例えば、GDP(国内総生産)を簡単に考えると、
「GDP=労働人口×労働時間×1時間あたり生産性」で表せると思います。
人口動態から考えると、労働人口はこれから必ず減ります。
ここから読み取れることは、短期的に景気は良くなる事はあっても、長期的には景気は悪くなるということです。
だからこそ、1人生産性(人時生産性)を上げる必要があります。
働き方改革やロボット、IT導入が叫ばれているのはそのためです。
企業が年功序列、終身雇用制度を諦めざるを得ないのも分かります。
3.2 2020年と2030年の人口数
そしてフリーランスや副業による収益源を複数確保する動きもより加速していくでしょう。
では、人口動態をもとに「整骨院業界」への影響を考えてみましょう。
特に経営を行う上で考えるべきなのは2020年~2030年の10年間。
【2020年】
・人口:約1億2,400万人
・65歳以上人口:約3,610万人
・15~64歳の人口:約7,340万人
・高齢者比率:約29.1%
【2030年】
・人口:約1億1,600万人
・65歳以上人口:約3,680万人
・15~64歳の人口:約6,770万人
・高齢者比率:約31.7%
10年間で約800万人(内570万人が15歳~64歳)の人口が減ります。
日本の3大都市である名古屋市のある愛知県(約750万人)が丸々無くなることを意味します。
人口減少は知っていても、こうして例えてみるとゾッとします。
3.3本格化する地方人口の減少
特にこれから地方の人口減少は本格化します。
引用元:経済産業省 地域経済産業政策について
2015年と2030年を比較した時、
15歳~64歳人口が20%以上減少する都道府県もあります。
「20%以上減少する都道府県」
・青森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県・山梨県
・徳島県・高知県・長崎県・宮崎県・鹿児島県
全国で人口が増加するのは東京都のみです。
一方で、東京都も含め全国で高齢化率は高まります。
ただ、高齢化の特徴は大きく3つに分かれます。
(1)15歳~64歳人口は大きく減り、65歳以上は微増or微減
(2)15歳~64歳人口は減り、65歳以上は増える
(3)15歳~64歳人口は微増or微減、65歳以上は大きく増える
それぞれ、(1)過疎地域、(2)地方都市、(3)大都市の特徴です。
つまり、田舎では労働人口の絶対数が減り、都会では高齢者の絶対数が増えます。
介護、医療の需要は上記の特性を考えると、以下のように仮説が立てられます。
「過疎地域」
2010年~2020年でピークを向かえており、現存する病院や介護施設で地域が成り立っている。新規参入は起こりにくく、人財不足や需要の減少により施設数は今後減少していく。ライフサイクルでいうと衰退期です。
「地方都市」
2020年~2030年でピークを迎える。現在需要がピークを迎えようとしており、人手不足状態。新規参入は減ってくる。サービスの品質向上や人財確保が運営継続の要となる。資金力のない小規模施設は経営難に陥る。また、認知症特化など専門的な施設が増加する。ライフサイクルでいうと成熟期です。
「大都市」
2030年~2040年でピークを迎える。これからより需要が伸びていくとともに新規参入が引き続き増加していく。人財確保が運営継続のための要となる。ライフサイクルでいうと成長期です。
介護市場が伸びているのは確実ですが、倒産数も多いとよく聞くのは、上記の仮説から説明できます。むしろ事実だと思います。
3.4 2020年から2030年の整骨院を人口動態から考察
では、人口動態から読み取れる2020年~2030年の整骨院業界はどうでしょうか?
上記を踏まえると以下は確かでしょう。
・保険制度のさらなる規制強化
・柔整師の介護業界での雇用拡大
・1院あたり新規患者数の減少
・業態転換が起こる
・経営における立地戦略がより重要に
・倒産数が年々増加(特に小規模院)
・M&Aにおける規模拡大の手法が顕著に
・多店舗院の不採算店舗の増加
・採用費、人件費の高騰(特に地方都市以上)
・一人生産性の向上が必須に
・雇用環境の改善と雇用形態の変化
・異なる事業への挑戦が加速(新規事業)
・成長率と利益率の総和の拡大を追う経営にシフト
・対応力と技術力の品質がより求められる
・財務面での強化が必須になる
4整骨院がしなければならない3つの対策
国内だけでなく海外に目を向けると、海外進出も盛んになってくるでしょう。
それぞれ異なる事項のように見えますが、対策を考えると、3つに集約されます。
(1)立地の見直し
(2)品質向上×サービス拡大
(3)保険、新規に依存しない経営スタイルの確立
売上を方程式で表すと、
「売上=マーケットサイズ×商圏人口×商圏内シェア率」
になります。
マーケットサイズとは、1つのサービスに対して1人が消費する年間消費額です。整骨院市場規模を総人口で割ったものになります。整骨院の場合5,000円程度となります。
商圏人口とは、患者となりうるエリアの人口数です。
整骨院の場合、店舗から半径3キロ程度が商圏人口となるでしょう。
※都市部の場合はより小さく、地方の場合はより広くなる傾向があります。
人口動態から明らかなのは、商圏人口の減少です。特に過疎地域、地方都市は減ります。
そして、整骨院数の増加から読み取れるのは、新規数の減少です。
新規に依存する経営では、奪い合いになるため商圏内シェア率は低下していくでしょう。
5整骨院がしなけばならない3つの経営方針
外的要因と売上の方程式から考えると、
3つを主軸とした経営へのシフトは考えなければならないでしょう。
※圧倒的な技術力などで口コミ、紹介、遠方からの来院が絶えないような院様は除きます。
(1)商圏人口が減っても影響を受けにくい立地出店(駅前など)
(2)マーケットサイズの拡大
(3)新規に依存しない経営スタイルの確立
(1)はこれまで駅前や車通りの多いロードサイド沿いなどが好立地とされてきました。ただ、今回のコロナの影響で東京や大阪など人口の多いエリアは人の移動が大きく制限され、結果として業績ダウンした整骨院が多かったのも事実です。
今後リモートワークの推進や価値観の変化により、
人口が多い、密度が高い、大きな駅の近く=良い立地とはなりづらいとも考えています。
私の分析した結果、人口15万人以上かつ人口密度1,000~4,000/㎢のエリアは、
比較的コロナウィルスの影響を受けずらかった(業績ダウンが比較的少ない)ので、5年程度のスパンで考えるとそういったエリアへの出店は進むのではないかと考えています。
ただ、人口動態から考えると、
ある程度商圏人口が担保されるエリアへの出店は必須でしょう。
小規模な院様ほど、まずは(2)(3)が重要になってくると考えます。
6整骨院がマーケットサイズ拡大に必要な2つの方法
Q.1マーケットサイズはどのように伸ばすのか?
方法は2つです。
(1)新規事業を行う。
(2)院内でこれまでとは異なるサービスを提供する。
(1)は資金、人、時間を大きく使い、リスクを伴いやすいです。
ただ、成功すると会社として複数の収益源を持つため、安定と拡大を得る事ができるでしょう。
例)整骨院業界に近しい介護、福祉、フィットネス関係の事業を始める。全く異なる業界のFC事業を始めるなど。
→ある程度資金力のある整骨院が対象にあるでしょう。
(2)は失敗のリスクが小さく、また大きな資金や時間を必要としません。
例)美容や物販サービスなど。
7整骨院が新規に依存しない経営スタイルの構築方法
Q2.新規に依存しない経営スタイルはどのように構築するか?
整骨院は新規(完全新規+再診者)がいないと成り立ちません。
1週間~3ヶ月で患者は痛みが取れたら卒業します。なので新規がいないとカルテ枚数は減ってしまいます。
1人の患者様が半年や1年以上整骨院に通院し続けてくれる、もしくは何かしらの形でお金を落としてくれる仕組みを作る必要性があります。
実際に、離反率10%を実現する「予防型整骨院」というビジネスモデルを築き、
1院で年商1.5億円を実現している整骨院も出てきています
以上、今後の人口動態等を考えると、改めて整骨院経営で重要な視点は3つです。
8まとめ 整骨院経営で最も大切な3つの要素
- 新規に悩まない戦略(特に立地)
- 治療以外の売上による生産性アップ(物販や新規事業)
- 患者と長期的にお付き合いできる仕組み
9船井総合研究所の取り組み
これから10年で日本の整骨院市場は大きく変化していくと予想されます。
今強い整骨院が生き残るのではなく、時流を掴み、変化に対応していける整骨院が生き残っていけるのではないでしょうか。
船井総研では、全国の整骨院の一次情報を収集・分析し、
時流に合った対策やビジネスモデルの提唱を行っています。
経営に課題のある方、今後の経営戦略についてご相談されたい方は、
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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