整骨院で会員制を導入するメリットとデメリットとは?

2025年7月15日配信

カテゴリ:
整骨院 整骨院経営

1.この記事はこんな方におすすめ

整骨院経営者の皆様、日々の院運営、本当にお疲れ様です。多くの経営者様が、患者様の獲得から定着、そして安定した売上基盤の確立まで、様々な課題に直面されていることと存じます。このコラムは、そんな皆様の「もっとこうなれば…」という想いを形にするための一助となることを目指しています。

  • 「新規患者様は来てくださるものの、なかなかリピートに繋がらない
  • 「月々の売上が不安定で、先の見通しが立ちにくい
  • 「自費診療への移行を促したいが、なかなかうまくいかない
  • 「会員制って、なんだか良さそうだけど、実際にどうなんだろう?」
  • 「導入すると、どんなメリットがあるんだろう?」
  • 「逆に、どんなことに気を付ければいいんだろう?」

このコラムを通して、会員制導入が貴院の「強み」となり、患者様にとっても「なくてはならない存在」となるための具体的なステップを、一緒に考えていきましょう。

2.整骨院・整体院が直面する会員制導入の課題とは?

❓会員制導入とは❓

「整骨院における会員制」とは具体的にどのような仕組みを指すのでしょうか? 一言で言えば、患者様が月額などの定額料金を支払うことで、特定の施術やサービスを継続的に、あるいは優待価格で利用できるシステムのことです。これは、単に一度の施術を提供するだけでなく、患者様の健康を長期的にサポートし、深い信頼関係を築くことを目的としています。

このシステムを導入することで、貴院と患者様双方にとって、どのような「良いこと」と「気を付けるべきこと」があるのか、詳しく見ていきましょう。

⭐会員制導入のメリット

会員制には、整骨院経営を安定させ、患者様との関係性を深めるための多くの利点があります。

  1. 初期費用が抑えられ、成約のハードルが低い 回数券などと比較して、患者様が一度に支払う金額が少なくて済むため、気軽に始めやすいと感じられます。これは新規患者様の獲得において大きな強みとなります。
  2. 長期的なお付き合いに繋がりやすい 一度会員になれば、継続して通院する心理的なハードルが下がるため、患者様との関係が深まり、長期的な信頼関係を築きやすくなります。健康管理のパートナーとして、患者様のライフスタイルに寄り添ったサポートが可能になります。
  3. 安定した売上予測と数値計画が見込みやすい 毎月定額の会員費が安定的に入ってくるため、売上の予測が立てやすくなり、経営計画が格段に安定します。これにより、スタッフの増員や設備投資など、将来に向けた戦略的な経営判断がしやすくなるでしょう。
  4. 他のメニューのクロスセル提案がしやすい 定期的に来院される会員様には、日頃の会話を通じて患者様の潜在的なニーズを把握しやすくなります。例えば、通常の施術だけでなく、EMS(楽トレ)や美容鍼などの自費メニュー、または物販など、他のサービスや商品の提案もしやすくなるでしょう。患者様も「いつも通っている院だから」という安心感から、新たな提案を受け入れやすくなります。
  5. 現金を使わないため、購入ハードルが下がる 月額自動引き落としなどにすることで、患者様が毎回現金を準備する手間が省け、心理的な負担が軽減されます。これにより、計画的な通院が促され、治療の継続にも繋がります。
  6. 生産性向上の可能性 源泉資料によると、中には「幽霊会員様」と呼ばれる、契約しているものの実際には来院頻度が低い患者様も一部いらっしゃるとのことです。ただし、3ヶ月以上来院がない場合は引き落としを停止する運用例もあるため、無理な徴収にはなりません。これは生産性の向上に繋がる可能性も秘めている、という側面です。

❌会員制導入のデメリット

一方で、会員制導入には注意すべき点や、経営上の課題となる側面も存在します。これらのデメリットを事前に理解し、適切な対策を講じることが成功の鍵です。

  1. 来院頻度が下がり、治療効果を発揮しにくい可能性 「いつでも来られる」という安心感から、患者様の来院頻度が低下し、結果として治療効果が十分に得られないケースが発生する可能性があります。これでは患者様の満足度を低下させ、ひいては貴院の評判にも影響しかねません。治療のプロとして、適切な通院指導とフォローがより一層重要になります。
  2. 通常料金より単価が低くなるため、生産性が上がりにくい 会員制は、単価を抑えて継続利用を促すビジネスモデルであるため、1回あたりの施術単価が通常の都度払いよりも低くなる傾向があります。このため、生産性を維持・向上させるためには、より多くの会員数を確保したり、会員様への追加チャージやクロスセルを効果的に行う必要があります。
  3. 低単価プランでは追加チャージが必要になり、催促の手間が発生 もし低価格の会員プランを設定した場合、提供するサービス内容によっては追加料金(チャージ)が必要となることがあります。その際、患者様への料金説明や催促のプロセスが煩雑になり、スタッフの負担が増える可能性があります。
  4. プリペイドカードの残高管理が煩雑になる場合がある 会員制の中にプリペイドカードの要素を取り入れる場合、患者様ごとの残高管理が手間となり、運用が複雑になる可能性があります。システム導入などでこの手間を軽減する工夫が求められます。
  5. 契約・解約手続きの手間 会員制の性質上、患者様との契約や、時には解約の手続きが発生します。これらの事務作業が煩雑になると、スタッフの負担が増え、本来の治療業務に集中できない事態も考えられます。スムーズな手続きフローの構築が不可欠です。

会員制は、貴院の経営に安定と成長をもたらす可能性を秘めている一方で、その運用には細やかな配慮と戦略が求められます。メリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えるための具体的な対策については、次のパートで詳しく解説していきます。

3.対策を取らないとどうなる?放置リスクと現実的な課題

会員制導入の大きなメリットの一つに「売上の安定化」がありましたが、これを見誤るとどうなるでしょうか?

🚫経営の安定性が失われ、不安定な運営に陥る

会員制は、予測可能な収益をもたらし、経営の基盤を強化する強力なツールです。しかし、もしその導入を怠ったり、効果的な運用ができないと、貴院の経営は常に外部環境の変化に左右されやすくなります。

❌新規患者様への過度な依存: 会員制による安定的な継続売上がなければ、貴院の経営は常に新規患者様の獲得に追われることになります。しかし、近年、整骨院・施術所の数は増加し、競合も激化しており、新規患者様の集患コストは増加傾向にあります。これに依存し続けることは、経営を不安定にする大きな要因となるでしょう。

❌売上予測の困難さ: 毎月一定額の会員費が安定して入ってこないため、将来の売上を正確に予測することが難しくなります。これにより、スタッフの採用計画や設備投資、さらにはマーケティング戦略といった経営判断が、場当たり的になりがちです。安定した数値計画が見込めないと、中長期的な成長戦略を描くことも困難になります。

❌自費診療への移行の停滞: 療養費(保険診療の収入)の減少傾向が続く整骨院業界において、自費診療への移行は喫緊の課題です。会員制は、患者様に自費メニューを継続的に利用してもらうためのスムーズな導線となり得ますが、その導入を怠ったり、効果的な運用ができないと、自費移行が進まず、収益性の低い保険診療に依存し続けるリスクが高まります。

🚫患者様の治療効果と満足度の低下、そして信頼関係の希薄化

患者様の健康を継続的にサポートし、深い信頼関係を築くことは、整骨院経営の根幹です。この根幹に関わる部分にも、もし会員制の運用が適切でなければ、深刻な影響が出かねません。

❌来院頻度の低下による治療効果の限界: 会員制の強みは「継続的な来院」を促すことですが、もし患者様が「いつでも来られる」と捉え、来院頻度が下がってしまったら、どうなるでしょうか? 症状の根本改善には継続的な施術が必要不可欠です。来院が途切れれば、期待された治療効果が十分に得られにくくなり、結果として患者様の満足度が低下してしまうでしょう。これは、せっかく治療家として患者様を「治癒」へ導きたいという想いがあっても、実現が難しくなることを意味します。

❌潜在ニーズの見落としと長期的な関係性の喪失: 患者様は単に「痛みをなくしたい」という表面的な「顕在ニーズ」だけでなく、「痛みがなくなったら旅行に行きたい」「スポーツを再開したい」といった深層の「潜在ニーズ」を抱えています。会員制は、継続的な来院とコミュニケーションを通してこれらのニーズを把握し、患者様の人生の目標達成をサポートする長期的な健康パートナーとしての信頼関係を築くための強力なツールです。これを放置すれば、貴院と患者様との関係は一過性のものに終わり、患者様を真に「治癒」へと導き、健康寿命を延ばす機会を逃してしまうことになります。

❌口コミ評価への悪影響: 治療効果が実感できない、あるいは期待したサービスが受けられないと感じた患者様は、低評価の口コミを投稿する可能性があります。Googleの口コミは、新規患者様の獲得において非常に重要な要素であり、評価が高い店舗は選ばれやすくなるため、ネガティブな評価が増えれば、集患に直結する大きなリスクとなります。

🚫院内業務の非効率化とスタッフへの負担増大

会員制の運用は、適切なシステムや教育がなければ、かえって業務を複雑にし、スタッフの負担を増やすことにも繋がりかねません。

❌煩雑な事務作業: 会員契約や解約、プリペイドカードの残高管理、低単価プランにおける追加チャージの催促など、これらの業務が手作業や不十分なシステムで行われると、スタッフは本来の施術業務に集中できなくなり、疲弊してしまいます。これにより、患者様へのサービス品質にも影響が出かねません。

❌スタッフ教育の不足と提案スキルの未熟: 会員制導入には、患者様への適切な説明と提案スキルが不可欠です。もし、スタッフへの十分な教育体制が整っていないと、会員移行率が伸び悩んだり、患者様からの疑問にスムーズに答えられず、機会損失に繋がる可能性があります。特に回数券と会員制を併用するモデルでは、それぞれの提案スキルが必要となり、難易度が高まります。スタッフの育成は、患者様のお役に立つ人材を育てる上で非常に重要です。

❌生産性の頭打ち: 通常料金よりも単価が低くなる会員制において、適切な会員数の確保や、EMS(楽トレ)や美容鍼などの他の自費メニューへの効果的なクロスセルがなければ、生産性が上がりにくく、売上向上が見込めない状況に陥ります。

会員制は、単なる料金体系以上の「経営戦略」です。これらのリスクを未然に防ぎ、貴院の成長と患者様の満足度向上に繋げるためには、戦略的な導入と継続的な改善が不可欠である、ということを心に留めておきましょう。次のパートでは、これらの課題に対する具体的な対策について掘り下げていきます。

4.まず取り組みたい基本的な会員制対策

会員制導入を成功させるには、そのメリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えるための「対策」が不可欠です。ここでは、具体的に「これだけは押さえておきたい」という基本的な対策について、一つずつ見ていきましょう。

🔑経営を安定させるための「数値の見える化」と「価値の最大化」

会員制の大きなメリットは「売上の安定化」と「数値計画の見込みやすさ」です。これを確実に手に入れるためには、漠然とした目標ではなく、具体的な「数値」に落とし込み、患者様への「価値」を最大限に伝えることが重要です。

✅精度の高い「数値計画」を立て、売上を予測可能にする

売上を安定させ、予測可能な経営を行うためには、目標を明確にし、その進捗を測る「物差し」が必要です。

  • KPI(重要業績評価指標)の導入と活用: 「いつまでに、何を、どれだけ達成するか」という具体的な目標を数値で設定しましょう。例えば、月間会員数、会員継続率、会員からの自費メニューへのクロスセル率などをKPIとして設定し、その進捗を日々、週次、月次で確認します。KPIは、「SMART」(Specific:具体的、Measurable:計測可能、Achievable:現実的、Relevant:最終目標と関連、Time bound:期限がある)の原則に従って設定することで、より効果を発揮します。
  • データに基づいた意思決定: 会員売上や楽トレ売上などのデータを継続的に計測・分析し、スプレッドシートなどを活用して数値の推移をグラフで可視化しましょう。これにより、どの対策が効果的だったのか、どの部分に課題があるのかが一目瞭然になり、根拠に基づいた経営判断が可能になります。データ収集の段階からデジタル化を進めることで、人的ミスを減らし、効率的なデータ分析が実現します。

✅患者様にとっての「価値」を最大化し、自費診療へのスムーズな移行を促す

会員制は、患者様に長期的に継続してもらうための「導線」となり、自費メニューへのクロスセルを促す上で有利です。患者様が自ら「この治療を受けたい」と感じるような価値提案が不可欠です。

  • 「継続」を促すカウンセリング: 会員制導入では、来院頻度が下がりやすいというデメリットも指摘されています。これを防ぐためには、患者様が「なぜ継続的な治療が必要なのか」を心から理解・納得することが重要です。単に「痛みが取れたら終わり」ではなく、「痛みが取れた先にどんな理想の未来があるのか」という潜在ニーズを深く掘り下げ、それを実現するための継続治療の必要性を具体的に伝えるカウンセリングが求められます。
  • 治療計画の「見える化」と患者教育: 治療計画は、患者様ができるだけ早く治癒に導かれるための最適な通院ペースを示すものです。治療の全体像を視覚的に提示する「紙芝居ツール」などを活用し、患者様自身が回復のイメージを持てるように説明しましょう。これにより、「この治療を続ければ改善する」という効果実感を高め、「喉から手が出るほど受けたい」と思わせる価値提案に繋がります。

🔑患者様の満足度と信頼関係を高める「コミュニケーション戦略」

整骨院経営の根幹は、患者様との信頼関係です。会員制を通じて患者様との長期的な関係を築くためには、心に寄り添うコミュニケーションと、その感動を広げる仕組みが重要になります。

✅「おもてなし」の心で患者様と深くつながる接遇

患者様は身体の改善だけでなく、「気持ち」の部分でも明るくなりたいと願っています。単なる「接客」を超えた「接遇」を心がけることで、患者様との絆を深めることができます。

  • 「接客」から「接遇」へ: 受付での「いらっしゃいませ」だけでなく、雨の日の労いや、遠方からの来院への感謝、痛みに寄り添う言葉など、患者様の状況や気持ちを汲み取った「おもてなし」を意識しましょう。これにより、患者様は「大切にされている」と感じ、深い信頼関係が生まれます。
  • 潜在ニーズを深く掘り下げるカウンセリング: 患者様が抱える「痛みをなくしたい」という表面的なニーズ(顕在ニーズ)だけでなく、「痛みがなくなったら旅行に行きたい」「スポーツを再開したい」といった人生の目標(潜在ニーズ)を理解することが重要です。オープンクエスチョンを積極的に用い、患者様自身が気づいていない身体の不調を言い当てて信頼を勝ち取りましょう。

✅「口コミ」を味方につけ、信頼を築き、集患力を高める

今日の集患において、Googleの口コミは非常に重要です。患者様の満足度を高め、良い口コミが自然と集まる仕組みを作り、それをさらに活かしていくことが求められます。

  • 質の高いサービスが第一歩: 口コミを増やしたいのであれば、まずは患者様に「わざわざ投稿して拡散したい」と思わせるような質の高いサービスを提供することが大前提です。技術力はもちろんのこと、スタッフの接遇レベルの向上、プラスアルファの気遣い、ホスピタリティが患者様の感動を生み出します。
  • 戦略的な口コミ獲得と返信:
    • 自然な依頼: Googleのポリシーでは、金銭や特典と引き換えに口コミを投稿してもらうことは禁止されています。あくまで「自然な形」で患者様が口コミを投稿したくなるような環境を整えましょう。
    • Googleビジネスプロフィールの活用: Googleビジネスプロフィールを充実させ、定期的に症例報告や院内イベントなどの情報を投稿しましょう。
    • 丁寧な返信: 肯定的な口コミには感謝を伝え、否定的な口コミには真摯に受け止め、改善策を返信することが重要です。これにより、ユーザーからの信頼度が高まり、集客効果が向上します。
    • 口コミ数の重要性: 口コミ数が多く、評価が高い店舗は、競合との差別化になり、ユーザーが安心して来店を決める重要な判断基準となります。

🔑院内業務を効率化し、スタッフの「生産性」と「成長」を最大化する

会員制の導入は、事務作業の増加やスタッフの教育負荷増大につながる可能性があります。しかし、適切なシステムと教育体制を整えることで、これらの課題を克服し、スタッフの生産性を向上させることができます。

⭕業務効率を劇的に改善する「デジタル化」の推進

煩雑な事務作業はスタッフの負担を増やし、本来の施術業務に集中する時間を奪います。デジタルツールの活用は、この問題を解決し、院全体の効率を飛躍的に向上させます。

  • 事務作業の負担軽減: 会員契約や解約、プリペイドカードの残高管理といった業務は、会員システムを導入することで大幅に効率化できます。これにより、スタッフは手作業による煩雑さから解放され、患者様へのサービスに集中できるようになります。
  • 情報の「見える化」と共有: 院内の様々な情報をデジタル化し、スタッフ間で共有できる仕組みを作りましょう。朝礼や終礼でのタスク確認(空き時間でのToDo進捗確認など)や、KPI進捗の共有を徹底することで、各スタッフが自身の役割と目標を明確に認識し、生産性の向上に繋がります。

⭕ スタッフが「自走」できる「教育体制」の構築

会員制の成功には、患者様へ的確な提案ができるスタッフの育成が不可欠です。スタッフ一人ひとりが成長を実感し、主体的に業務に取り組める環境を整えましょう。

  • 体系化された教育プログラム: 「人には能力差はない、可能性は等しく無限、あるのは環境と選択」という考え方を土台に、新人から幹部まで、段階に応じた教育スケジュールを整備しましょう。社会人としてのビジネスマナー、技術習得、カウンセリングスキルなど、必要な項目を網羅した研修資料や動画マニュアルを導入することで、教育の品質を均一化し、早期戦力化を促します。
  • マニュアルの「攻略本」としての活用: 業務の基本は「経営計画書」「テキスト」「マニュアル」「スクリプト」と定め、これらを「仕事で成果が出やすくするための攻略本」として最大限に活用することを推奨しましょう。マニュアル通りに実践し、成果を出すことで、スタッフは自信をつけ、さらなる成長へと繋がります。
  • 主体性を育む「磨き合い」の文化: スタッフ一人ひとりが「自分の可能性」を信じ、自ら考え、行動する「主体性」を育むことが重要です。互いにフィードバックし合い、成長を促す「磨き合い」の文化を醸成しましょう。これにより、社長が現場から離れて経営に専念できる「組織で戦える体制」を構築できます。

5.よくある質問(Q&A)

ここでは、会員制を導入・運用する中でよく耳にする疑問や、多くの経営者様が抱えるお悩みについて、具体的なヒントを交えてお答えしていきます。

❓会員制の料金設定で迷っています。

患者様に長く通っていただくためには、料金設定が非常に重要ですよね。ポイントは、患者様の多様なニーズに応えられる選択肢を提供することです。

例えば、月会費4,800P(ポイント)の低単価プランを基本とし、患者様の通院頻度や治療内容に合わせて追加チャージが可能なプリペイド式を導入するなど、柔軟な料金体系を検討してみてはいかがでしょうか。

患者様はそれぞれ、お体の状態や生活スタイル、そして「治療にかけられる予算」が異なります。そのため、お得感を明確に伝えつつ、複数の料金プランや回数券、プリペイドカードなどを分かりやすく提示し、患者様自身が「これなら通いやすい!」と感じる選択肢を選べるようにすることが大切です。無理なく継続できると感じてもらうことが、結果として患者様の定着に繋がります。

❓会員制を導入しても患者が定着しないのはなぜですか❓

せっかく会員になっていただいても、患者様が途中で通院を辞めてしまう(ドロップしてしまう)のは、経営者として非常につらいことですよね。その大きな原因は、患者様が「費用対効果」や「提供される価値」を感じられなくなってしまったことにあるかもしれません。

特に注意したいのは、スタッフの「慣れ」や「無関心」です。患者様への関わりがおろそかになったり、常に同じ施術ばかりになってしまうと、「ここに通い続ける価値があるのかな?」と感じさせてしまい、結果的に休会や退会に繋がります。

患者様が本当に求めているのは、「痛みが取れる」だけでなく、「その後どうなりたいか」という未来の姿です。例えば、「この治療を続ければ、どれくらいの期間で、どんな状態を目指せるのか」「痛みが取れた後も、なぜメンテナンスが必要なのか」といった通院の目的や、治療の全体像、そして段階的な通院指導を明確に行えていますか?

患者様一人ひとりの「生活」「仕事」「人生の背景」に寄り添い、その方に合わせたパーソナルなサービスを提供し、きめ細やかなカウンセリングと検査、そして根拠に基づいた説明を徹底することで、患者様との間に深い信頼関係を築くことが、定着への鍵となります。常に患者様の状態を把握し、ニーズに合わせて「必需品化」する価値を提供したり、新しいメニューを提案するなど、飽きさせない工夫も重要です。

❓新人スタッフでも会員獲得はできますか❓

新人スタッフがすぐに高い成約率を出すのは難しいと感じるかもしれませんね。彼らが自信を持って患者様に提案できるよう、段階的なアプローチと明確なマニュアルが非常に有効です。

例えば、新人スタッフには初回での複雑なクロージングを無理に任せるのではなく、まずは「患者様のお悩みを聞き出す」「治療の必要性を説明する」といった役割に集中させましょう。そして、2回目の治療時に、経験豊富な先輩スタッフや院長が加わり、インナー検査の結果や詳細な治療計画を説明し、会員制の具体的な提案へと繋げるという方法も効果的です。

これは、新人スタッフが「60%程度は自分でできる」業務から任せ、小さな成功体験を積ませるという考え方にも通じます。成果を出しているスタッフの「やり方」を具体的にマニュアル化し、「攻略本」のように活用させることで、新人でも自信を持って業務に取り組めるようになります。全員が同じ品質の患者指導ができるよう、体系的な教育体制を整え、マニュアルに沿った反復練習を徹底しましょう。

❓既存患者への移行案内で気をつけることは❓

既存患者様は、すでにあなたの院の治療を経験し、信頼関係が築かれている大切な方々です。この方々に会員制へ移行していただくには、「なぜ今、会員になるべきなのか?」という、具体的なメリットと「理想の未来(ベネフィット)」を明確に伝えることが重要です。

痛みがある時だけでなく、「痛みが取れた後のメンテナンス」や「より良い身体作りを継続していきたい」というニーズに対して、会員制が最適な解決策であることを促しましょう。例えば、「痛みのない健康な体をキープできる」「今後、症状が再発するリスクを回避できる」といった長期的な視点でのメリットを強調できます。

さらに、会員になることで得られる「通いやすさ(予約の取りやすさなど)」や「割引」「特別なサービス」といった金銭的・非金銭的な具体的なメリットを明確に伝え、既存患者様が「これはお得だ」「私のニーズに合っている」と感じられるように工夫しましょう。感謝の気持ちを伝えつつ、一方的な「押し付け」ではなく、患者様への「提案」というスタンスでアプローチすることが成功の鍵です。

❓会員制導入後の効果測定はどうすればいいですか❓

会員制導入の効果を最大限に引き出すためには、明確なKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に計測・分析し、改善に繋げるPDCAサイクルを回すことが不可欠です。

測定すべき主なKPIとしては、以下の項目が挙げられます:

  • 会員純増数: 新規会員獲得数から退会数を差し引いた数。
  • ドロップ人数: 途中で通院を辞めてしまった患者様の数。
  • 会員総来患数: 会員全体の月間来院数。
  • 会員リピート率: 会員が次回の予約を継続して取っている割合。
  • 継続チャージ: 月会費以外の追加チャージによる売上。

これらのデータを効率的に管理・分析するために、Googleフォームやスプレッドシートなどのツールを活用するのがおすすめです。Googleフォームで患者アンケートを実施し、その回答をスプレッドシートに自動連携すれば、データをグラフ化して視覚的に傾向を把握したり、フィルター機能やピボットテーブルを使って詳細なクロス分析を行うことも可能です。

KPIを視覚化し、チーム全体で共有することで、目標達成に向けた「今やるべきこと」が明確になり、スタッフのモチベーション向上にも繋がります。定期的な振り返りを通じて、設定したKPIがKGI(最終目標)に合致しているかを確認し、必要に応じて改善していく柔軟な運用が成功には不可欠です。

6.まとめ&会員制で困ったときの相談先

整骨院における会員制の導入は、売上の安定化、患者様の定着率向上、そして経営の予測可能性の向上といった、多くのメリットをもたらし、皆さんの院の持続的な成長に繋がる可能性を秘めています。現代の整骨院業界が直面する採用難や競合激化といった課題の中で、安定した経営基盤を築く上で会員制は非常に有効な戦略となり得ます。

しかし、その一方で、料金体系の複雑化や運用コスト、そして最も重要な「サービス品質の維持」といった課題も存在します。導入すればすぐに成功するわけではなく、試行錯誤が必要です。

成功の鍵は、患者様一人ひとりへの明確な価値提供、そしてその価値を全てのスタッフが自信を持って伝えられるような徹底した教育体制です。さらに、今回ご紹介したKPIを活用し、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していく姿勢が何よりも重要です。スタッフ全員が「自分の可能性は無限大だ」と感じ、イキイキと成長できる組織こそが、患者様に選ばれ続ける院になるでしょう。

もし、会員制導入やその後の運用に関して「もっと詳しく知りたい」「自院に合った具体的な戦略を専門家と相談したい」とお悩みでしたら、ぜひ船井総合研究所にご相談ください。船井総合研究所では、整骨院経営者様向けの無料経営相談を受け付けております。

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