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2021年8月30日配信

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自費導入

自費診療に移行する整骨院・接骨院の数は年々増加しています。本来であれば保険診療が可\能な整骨院・接骨院が保険適用外の自費診療にいこうしているのはなぜなのでしょうか。
その背景には業界、さらには国が抱える切実な問題があります。

 

<整骨院が自費診療に移行する理由>

整骨院が自費診療に移行する理由①保険統制の厳格化
本来、整骨院・接骨院で保険診療が認められているのは、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷といった
急性の外傷のみです。
しかし、実際の整骨院での施術は腰・肩・背中を揉みほぐす手技がほとんどです。
このマッサージに似た施術には保険が適用されないため、これに関して2年に1度の診療報酬改
定の際に、毎度のように議論されています。
そのため整骨院・接骨院に対する保険請求の審査厳格化は年々激しくなってきており、この先も
さらに厳しくなることが予想されます。

 

さらには医療費を多く含む社会保障費が、国の財政を圧迫していることも保険団体による審査厳
格化の要因の1つです。財務省では2020年度の診療報酬改定において、2%以上のマイナス改
定にすることを提言しています。当然のことながら、この改定は整骨院や接骨院にも適用される
こととなります。

 

整骨院が自費診療に移行する理由②競合院の増加
競合院の増加により市場が飽和状態になっていることも、整骨院・接骨院が自費診療に移行して
いる理由の1つです。
①でも述べた通り、そもそも保険診療では対象となる症状も施術も急性外傷に限定されるため競
合院との差別化ができず競合争いに巻き込まれることも少なくありません。
一方、自費診療は対象症状や施術内容を自由に選択できるため、差別化がしやすくなります。
実際に数字を見てみると、柔道整復師の所属する整骨院や接骨院の数は、2006年の時点です
でに30,787院を数えていましたが、その後10年間で48,024院(およそ1.55倍)まで増えていま
す。同年のコンビニの数が全国で54,501件であったことを鑑みると、整骨院や接骨院の数はコン
ビニの数とそれほど変わらないことが分かります。
そうなると、当然ながら近隣院同士での競い合い、患者様の奪い合いが発生します。
そして、それぞれの院の収入は年々減少しているのです。
柔道整復師1人当たりの療養費収入を見てみると、2006年には939万円であったのが、10年後
には557万円(およそ41%減)まで下がっています。
その結果、保険診療のみのやり方で競合争いに巻き込まれ、倒産に追い込まれる整骨院・接骨
院の数も年々増加の一途を辿っています。

 

整骨院が自費診療に移行する理由③施術者負担の増加
施術者への負担が大きいことも、自費診療へと移行する整骨院や接骨院が増えてきている施術
者側の理由の一つです。
これまで申し上げたように整骨院・接骨院の数は年々増加しています。その一方で、日本の人口
は年々減少しています。結果、整骨院・接骨院の多くは薄利多売とならざるを得ない状況になっ
ています。
さらに、整骨院や接骨院を運営する上でネックとなるのは人件費です。人件費を多く費やせない
院では、少ない施術者数で多くの患者を診る必要があるため施術者の負担が大きくなり、体を壊
してしまう柔道整復師も増加傾向にあります。そのようなリスクも自費診療に移行することで回避
できるのです。

 

<整骨院が自費診療に移行するメリット>

整骨院が自費診療に移行するメリット①客単価が上がる
整骨院・接骨院が自費移行することによって生まれる最大のメリットは、客単価が上がるというこ
とです。保険診療とは異なり、自費診療の場合は価格設定を自院で決めることができます。その
ため、一顧客当たりの単価が上がり、少ない患者数であっても利益を上げることが可能になりま
す。

 

整骨院が自費診療に移行するメリット②柔道整復の技術を発揮できる
柔道整復師というのは、専門の学校を卒業し、資格試験に合格した人だけに与えられるもので
す。そんな誇らしい資格を持っていながら、保険診療内の施術のみを行っていても物足りなく感じ
るかもしれません。
例えば慢性症状に対する技術に自信があったとしても、保険の枠内では急性症状のみで慢性症
状の治療は出来ず、宝の持ち腐れになる、というようなこともあるかもしれません。
一方、自費診療であればそのような枠にとらわれずに、これまで学んだ知識・技術・経験を活かし
て様々な症例を診ることができます。

 

整骨院が自費診療に移行するメリット③本気で症状を改善したい患者様の役に立てる
保険診療内のみの施術の場合、打撲や肉離れといったケガを多く診ることになります。
これらは急性の怪我ですので、発症から日の浅い症状も多いです。
一方、自費診療の場合は慢性症状にも対応することができ、ずっと抱えてきた痛みがある患者
様や、長年の痛みからの解放を希望されて来院される患者様が多いです。
単発的な急性症状の緩和ではなく、長年の慢性症状の緩和を望まれる患者様にとって、ずっと
悩んできた症状が和らぐと大変嬉しく、また生活のしやすさも大きく改善されるはずです。自費移
行を行うことで、慢性的な症状を本気で改善したいと思われている患者様を助け
ることができます。
また、自費診療の場合は得意な技術があれば他院との差別化を図ることもできるので
症状に強みを持てばその症状に悩むお客様を多く救えますし、患者様自身が「この先生に診ても
らいたい」と思ってくださることもあります。

 

整骨院が自費診療に移行するメリット④毎月の保険請求の手間が省ける
柔道整復師、すなわち整骨院・接骨院には、患者様がご自身の状態に合わせて保険料負担分を
支払い、残りの療養費を患者さんに代わって請求する「受領委任」が認められています。しかし、
そのためには毎月レセプト業務を行う必要があります。月末のレセプト作業は柔道整復師にとっ
てかなり大きな負担となりますし、外部に依頼するとなればその分、また余計な費用がかかりま
す。
自費診療なら、保険適用ではなく全額患者負担となるためそのような煩雑な手続きからは解放さ
れます。
また、保険請求内容の確認のために保険者側が患者に電話をする、資料を送付するなど患者様
に迷惑をかけてしまうこともなくなりますし、最悪のケースでは保険適用が認められず、保険分の
収入を逃してしまうリスクからも解放されます。

<整骨院が自費診療に移行するデメリット>

整骨院が自費診療に移行するデメリット①既存顧客を失う可能性がある
整骨院や接骨院が自費診療に移行する際の懸念点として大きなものが、これまで来てくれてい
た既存の患者様、リピーター様を失う可能性があるということです。
実際、「保険で安く治療を受けられるから通っている」という患者様も多くいらっしゃるため、自費
移行で大幅に支払額が増加した後もこれまでと同じように通っていただけるかが課題となってい
ます。

 

整骨院が自費診療に移行するデメリット②治療体系を軌道に乗せるまでに時間がかかる
これまで保険診療のみおこなっていた柔道整復師にとって、自費診療は未知の世界です。
提供する施術内容、施術時間、効果的な生産性、集患向上に繋がる単価設定など、実際にやっ
てみなければ分からないことだらけです。
そのため、売り上げが安定するまでにしばらく時間がかかってしまいますし、これまでの保険診療
とは施術のスタイル、時間も大きく異なります。はじめのうちは自院の取り組みが適切なのかわ
からず不安になることもあります。自費診療に移行して失敗したと思わないよう、ある程度の資金
を蓄えておくことが重要です。

 

整骨院が自費診療に移行するデメリット③患者に対する説得力・対応力が求められる
保険診療の場合と比べ、自費診療になると患者さんに対する説得力・対応力がより求められるこ
とになります。
患者様は実費で施術費を払う分、納得のいく治療結果を求めるのは当然といえます。
ただ技術だけではなく、例えば肩こりであればなぜ肩こりが起こっているのか、それに対してどの
ような施術を行うのか、施術の過程や効果、日常生活で気を付けるべきことなどを、説得力のあ
る言葉で説明する
必要があります。

 

<整骨院が自費診療に移行する際のポイント>

整骨院や接骨院が自費診療へと移行していくことは、ある意味では時代の流れといえます。で
は、時流適応をし、実際に自費診療へと移行する際、どのようなことに注意する必要があるので
しょうか。

 

整骨院が自費診療に移行する際のポイント①徐々に自費診療へと移行する
これまで保険診療を行ってきた整骨院・接骨院が、いきなり完全に自費診療へと移行することは
かなり負担やリスクが大きくなります。そのため、一気に完全自費へと切り替えるのではなく段階
的に移行していくのがおすすめです。
例えば、自費診療にあてる曜日、時間を限定する、スタッフには保険診療を担当してもらい、院長
であるご自身のみが自費診療だけを行うなどです。
また、初めのうちは保険診療と自費診療のハイブリット型を取り入れ、レセプト業務を少しずつ減
らしていく、施術単価も完全自費よりは低くなることから患者様の離反率を防ぐ方法でもいいで
しょう。
そして「これなら自費診療だけでもやっていける」という確信を得た時点で、完全に自費診療へと
移行することをおすすめします。

 

整骨院が自費診療に移行する際のポイント②適切な価格設定にする
自費診療を行う際に、大きな悩みとなるのが価格設定です。設定単価が高すぎては患者さんを
集めにくくなりますし、安すぎては客単価も上がりにくく、保険診療から移行した意味がありませ
ん。

 

船井総研が示す、自費治療における目指したい数値は以下の通りです。
・一人当たり生産性=100万円~150万円
・分単価=150円~200円/分以上

また、ホットペッパービューティーが行ったリラクゼーションサロンに関する調査では
自費治療における1回あたりの支払い許容金額は男女ともに約5,000前後という回答が一番多
い結果となりました。
自費診療を付加した整骨院が狙うべきポジショニングは、市場が大きく価格も高単価ではない
2,000円~4,000が最適
といえます。
また、この場合分単価は170円以上(理想は200円)に設定するといいでしょう。

 

さらに、患者の月間総支払額は2万円以内を目安にすることも大事です。 仮に客単価が4000円
なら、そのお客さんを月に5回より多く来院させようとすると客離れのリスクが大きくなります。来
院頻度と単価の関係を考えておくことも大切です

 

整骨院が自費診療に移行する際のポイント③適切な状態鑑別、効果実感、治療計画提案
保険診療をおこなっている場合、「また明日来てください」や「次は3日後に処置します」などといっ
た声掛けをしやすいですし、患者さんの方でもあまり疑問を抱きません。
しかし、保険施術と比べて単価が高くなる自費診療の場合、高頻度の通院指導は難しくなりま
す。
そこで必要となるのが、患者様に合わせた適切な状態鑑別、治療計画提案です。患者様の状態
を評価し、症状が起きている原因や背景、どこまでの動きが可能なのか、ペインスケールはどれ
くらいかなどを検査によって明らかにしていきます。
そして、それに合わせてどのような施術を行うのか、施術の過程や効果、症状改善のために必要
な通院回数・頻度、日常生活で気を付けるべきことを治療計画として初診時にお伝えいただき、
継続的な通院の必要性をマインドセットしていただくことが非常に重要です。
また、中長期的な施術計画を立て、その通りに改善していく技量も必要となります。
施術時には、来院時の状態と施術後の状態がどう違うのか、必ず確認することが重要です。患
者さんの口から「楽になった」「こんなに変わった」と言わせ、自院の施術によって症状が改善す
ることを認識させることもポイントです。なによりも大事なことは、「この先生なら治してくれる」と患
者さんに思われることです。

 

整骨院が自費診療に移行する際のポイント④持続的な技術習得
自費診療へ移行し、無事にリピーターを確保できても、患者様が突然通院されなくなる(離反)こ
とがあります。離反抑制のためには前述の通り初診時に継続通院が必要な旨をお伝えいただく
ことが大切なのですが、それ以外にも突然の離反の要因は考えられます。
その一つが患者様が飽きた、または現在の治療内容に不満を感じた時です。
毎回のように同じような施術や説明、会話をしていると、患者さんの方でも「これで本当によくなる
のかな?」と疑問を抱き始めます。
技術を学び続け、同じ患者さんであっても、その時々に応じた施術や会話を提供することが大切
です。例えば現在の状態は初診時と比べてどう改善されているのか、治療計画のどのフェーズ
にいるのか、この状態で生活する上でのアドバイス(気を付けるべきこと、した方がいいトレーニ
ング)などです。そうすることで、「この先生は自分のためにこんなに頑張ってくれている」と思わ
れるようになり、飽きられたり治療に不満が生じることによる離反を防ぐことができます。

 

整骨院が自費診療に移行する際のポイント⑤リピーターを増加させる
この整骨院に通い続けたいと思うファンが多いこと、これが自費診療で長期的に成功する施術院
の特徴です。保険診療の際は、「近い・安い」ということを理由に院を訪れるケースが多いのです
が、自費診療となると単価も高く、どこにでもあるお店でも良いというわけにはいきません。院の
強みを活かし、他院との差別化を図ることで「この整骨院がいい」「この整骨院でないとイヤ」
思っていただくことが非常に重要です。

 

また、単価が高い分、保険診療の時ほど新患や客数が増えないので売上の安定化のためには
リピーターを増やすことも大切なポイントです。
①初診時の継続通院のマインドセット
②治療段階に合わせた技術・会話の提供
③運動指導等アフターフォロー

このように、患者様一人ひとりに対して寧なコミュニケーションを心がけ、じっくりと患者の心をつ
かみ満足度を上げ、患者様との信頼関係を築いていきましょう。

 

<整骨院・接骨院の自費診療に関するまとめ>
整骨院や接骨院を自費診療へと移行するのは大きな決断かもしれませんが、国の抱える問題や
業界の今後を考えた場合、1つの選択肢というよりは必須の条件といえるのではないでしょうか。
いきなり完全に自費診療へと移行するのが難しければ、段階を踏んで徐々に移行していくという
手もあります。国の歳入と医療人の関係をみても、このままではいずれ立ち行かなくなります。
保険診療から自費診療に移行し、生産性を上げるためのポイントは
①初診時のマインドセット
②患者様、治療フェーズに合わせた適切な鑑別・提案
③リピーターの増加

です。
患者さんから「良くなった」「ありがとう」といわれる素晴らしい仕事を続けるためにも、自費診療へ
の移行を考える時期に来ているのではないでしょうか。

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