「どうなる？柔道整復療養費の適正化について解説！」

令和3年8月6日（金）、第18回柔道整復療養費検討専門委員会（以下、検討専門委員会）が開催されました。
平成28年から過去4回に渡り、柔道整復療養費に関する議論が交わされる中で、今回議論がなされたのは大きく分けて下記の3点です。

①明細書発行義務化について
②不適切な患者への償還払いについて
③療養費を施術管理者に支払うための仕組みについて

それぞれ解説させていただきます。
【出典：厚生労働省ホームページ】
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204312_00007.html

①明細書発行義務化について

現状は、明細書の発行義務はなく患者様が求める場合のみ発行する形式ですが、
今後としては、保険請求の適正化に向けて明細書の発行を「義務化」を検討。
ただし、施術所の負担には最大限配慮する必要があるとのことです。

②不適切な患者への償還払いについて

現状は、不正が「明らか」な患者及び不正の「疑い」が強い患者であっても、引き続き受領委任払いとされていますが、今後としては、不適切な患者の償還払いについては、不正が「明らか」な患者(自己施術を行っている等)に加え、複数の施術所において同部位の施術を重複して受けているなどの不正の疑いが「強い」患者様への対象も検討。
ただし、上記方針の実施にあたり「償還払いを行う範囲」「償還払いのプロセス」についての検討も必要とのことです。

③療養費を施術管理者に支払うための仕組みについて

こちらの背景としては「ホープ接骨師会の療養費の私的流用」の事案よりです。
参考）https://www.e-shugi.jp/contents/k/0113_20210425/
【出典：NPO法人日本手技療養協会】
上記事案を受け、今後の対応方針として、
・公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みの構築
・請求、確認業務のオンライン化の促進
を進めていくとのことです。

また、上記についての今後のスケジュール感としては、
①②については、令和4年年始を目途に施行
③については、
令和4年6月(時期療養費改定)までに方向性の調整→令和6年中を目途に施行
という流れです。

以上、要点に絞って解説させていただきましたが、重要なのは上記を踏まえてこのコラムをお読みの皆様がどういった経営方針を取るか？であるかと思います。
①②③を通して共通していることとして、重々承知の上ではあると思いますが、「健康保険に依存した経営体質からの脱却」が挙げられます。

例えば、受領委任払い制度が撤廃された場合、後日請求すればよいとは言え、患者様側の一時的な負担金額は実費施術のそれと近しい金額になるかと思います。
結果、「健康保険を利用して施術を受けられる症状」の患者様はより自己負担が少なくて済む業態に移っていくと考えられます。

そして、そもそも「健康保険が利用できない」患者様からも、いかに選ばれるようになるかを考える必要も出てきます。

その結果、「健康保険が利用できない」患者様に選ばれるため、整骨院の枠を超え、すでに実費施術で戦っている多くの業界と差別化を図る必要性が出てきます。

では、どのように健康保険に依存した経営体質からの脱却を図るかですが、具体的には、
「現状の売上比率を明確化し、自費および事故の売上比率を高め、生産性を底上げすることにより、営業利益率(最低でも10%以上)を意識した経営を行うこと」であると思います。

そのためには、差別化を図る必要があります。
差別化を図る方法については、
下記コラムにて過去に解説してありますので、もしよければご参照ください。
【戦略編】整骨院が競合院と差別化を図るための8つのポイント
【戦術編】整骨院が競合院と差別化を図るための8つのポイント

ここまでコラムをお読みいただきありがとうございました。

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