整骨院経営における正しい利益率や人件費などを徹底解説!

2020年7月20日配信

カテゴリ:
経営


 


 

接骨院・整骨院の施術所の数は、競合が増えた事による影響を受けながらも年々増え続け5万件を超えております。
さらに、同エリアの競合院にはマッサージなどの整体院も含まれるためより競合状況が激化することが予想されます。

 

これからも接骨院・整骨院を経営していくためには、患者様が満足できる技術はもちろんですが正しい経営指標の理解が大切です。

 

本記事では接骨院・整骨院を経営する先生や開業を考える先生に向けて、整骨院における利益率、経費率についてお伝えさせていただきます。

 

まず、前提としてですが絶対にこの率を目指しましょう!という数値はありません。
あくまでも基準となります。

 

つまり、“基準と自院の数値に差異がある=悪い”という意味ではありません。
ただし、差異がある場合は、なぜそうなっているのか?それは財務的観点から適切なのか?という視点は常に持っておく必要があります。

 

今回は4つの数値について解説させていただきます。

 

1.整骨院と取り巻く経営環境

 

利益率や経費率を解説する前に、現在の整骨院業界を取り巻く経営環境について簡単にお伝えします。

 

1-1.競合の増加

→資格保有者である柔道整復師が増加し、競合となる施術所も増加。それによって、患者の分散が起こりいわゆる供給過多に陥っています。
高齢化社会が進むにつれ、整骨院には高い需要がある一方で供給過多になっているため患者の取り合いが発生し業績が伸びる整骨院と不振になる整骨院の二極化が進む形になっています。
他にも同業である整骨院の増加のみならず類似業態である整体院やエステ店なども増加しており、ますます厳しい経営状況におかれています。

 

1-2.保険請求

様々な事業所で水増し請求や架空請求が横行し、年々国の保険請求審査が厳しくなっています。整骨院で行われる施術は全てに保険が適応されるわけではないので、保険診療だけで利益を出すのは少し難しい部分があります。
保険外の自費治療に魅力的な要素がない場合、患者離れが起こる可能性が高いのです。

 

1-3.柔道整復療養費「患者ごとに償還払い」の開始

令和4年6月より保険者の判断により受領委任の取り扱いを停止し、償還払いに変更することができるとされました。
償還払いとは、患者さんが診療所に施術料を全額支払い、それを後々保険者に請求するという形の方法です。
償還払いを行うには条件があり、

 

① 自己施術(柔道整復師による自身に対する施術)に係る療養費の請求が行われた柔道整復師である患者
② 自家施術(柔道整復師による家族に対する施術、柔道整復師による関連施術所の開設者及び従業員に対する施術)を繰り返し受けている患者
③ 保険者等が、患者に対する照会を適切な時期に患者に分かりやすい照会内容で繰り返し行っても、回答しない患者
④ 複数の施術所において同部位の施術を重複して受けている患者
以上の4つが条件となります。

 

委任払いや償還払いについてもう少し知りたい方はこちら

 

2.整骨院の経営戦略

整骨院業界は、消費者の需要より供給が上回ってきました。
この状態では、商品の差別化や一番化を行い、
それぞれ消費者にあった商品やサービスの提供が必須になります。
どのような患者さんにも対応できるように手広くサービスを提供するのは良い事ですが、
他の整骨院との差別化を図る為にも
ある分野に特化したサービスを提供するのも一つの手段です。
例えば学校が近い地域で、
主な利用患者が学生さんだと部活中に起こるであろう怪我の知識を伸ばし専門性を高めたり、
高齢者の方々に絞るならば肩や腰回りの治療に対応出来るようにしたりとある程度の利用患者のターゲット層を絞り明確なコンセプトを持つ事はとても有効です。

 

3.整骨院経営における正しい利益率とは

 

まず初めに接骨院・整骨院の利益率についてご説明させていただきます。
利益率とは、売上高に対して利益がどれくらいの割合を占めているかを表す指標になります。
接骨院・整骨院は、飲食店とは異なり商品仕入れが無いため
”利益率=営業利益率”と考えていただいて問題ございません。

 

「営業利益率=売上―経費」となります。
経費とは、家賃、人件費、水道光熱費、広告費、消耗品費です。

 

年商5,000万円未満(平均従業員数5名)の黒字の整骨院の財務データ(2013年〜2017年)を見ると、整骨院の営業利益率は4〜5%で維持しています
※TKCのデータから参照
一般的な企業だと、営業利益率4〜5%は優秀な数値となります。
ですが、接骨院・整骨院の場合仕入れコストが無いため他業種よりも少し高い数値になっています。

 

年間売上5,000万円であれば、200〜250万円の利益です。
ただ、船井総研が提唱する目標営業利益率は、10%〜15%です。

 

4.整骨院経営における正しい人件費とは

 

人件費は労働分配率という指標になります。

 

「労働分配率=人件費÷売上総利益」で求めることができます。
売上総利益とは、売上から仕入れ等の変動費を差し引いたものです。
整骨院の場合、変動費が極わずかな事が多いため、「労働分配率=人件費÷売上」と思っていただければと思います。
※売上の増減によって変動する費用のことです
売上に対する人件費の比率を表します。
接骨院・整骨院業界の平均は、40%前後と言われています。
売上200万円(施術者3名)であれば、人件費は80万円(施術者一人あたり26.6万円)となります。

 

人件費には、給料だけでなく社会保険料や福利厚生費用、スタッフの教育などにかかる費用も含まれています。
船井総研が提唱する労働分配率は、30%〜35%です

 

これは、給与をカットするという意味ではなく、一人生産性(売上)を無理なく向上させて、給与を下げないという考えから来るものです。
整骨院業界は採用が難化傾向にあり、人材の定着が難しくなってきています。そのため、給与が全てではないですが生産性の向上や給与をカットしない事でやりがいを発生させ定着してもらうようにしましょう。

 

5.整骨院経営における正しい地代家賃率とは

地代家賃について、整骨院業界問わず基本的には10%前後が良いとされています。
月商500万円であれば、50万円が基準となります。
接骨院・整骨院の経営で一番重要な差別化要素は、「立地」です。
地代家賃比率を下げるために立地を悪くすると集患難易度が上がるため
立地戦略は、どの戦略よりも肝心です。
立地に注目するときは、怪我などで歩行が困難な患者様の為に駐車場やスロープ、駐車場から整骨院の入口が近い設計にすると良いでしょう。

 

6.整骨院経営における正しい広告費率とは

最後に、広告費です。

 

接骨院・整骨院業界は、まだまだ広告費に関してお金を出さない業界です。
ですが、船井総研としては3%〜5%を広告費として投資した方が良いと考えています。
 
月商500万円であれば、15〜25万円です。
 
なぜなら業界的に広告費にお金を割かない分、広告費に投資すれば地域での認知率を獲得でき多くの新規患者を獲得できるためです。
また接骨院・整骨院の場合、一度集患できると数ヵ月通院されたり、離反しても再診として戻ってきたりと投資対効果は大きいです。
1人あたり集患コスト3,000円〜5,000円で集患できる仕組みが望ましいでしょう。
広告の充足が集客に繋がる可能性が大きいため、広告費に投資する事は業績を伸ばす上で非常に重要な事です。
整骨院の広告を用いて集客方法についての解説はコチラ↓
整骨院の集客を伸ばす方法と全体像【2023年最新版】

 

7.最後に

以上、整骨院経営における利益率や経費率、地代家賃率、広告費率についてでした。
経営を行っていく上で金銭の数字面の理解と把握、管理は欠かせないものです。数字に対して正しい知識を持つ事で、上手な経営が可能になり業績を伸ばす事が出来るでしょう。
利益率や経費率の他に、銀行からの融資やコロナ融資の返済対策など様々な財務対策についても無料でご相談いただけます。

 

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